みなさんが来年受験する大学入学共通テストでは、国語の試験時間が10分延び、90分となります。また、近代以降の文章がいままでの2問から1問増えて3問110点に、古典が2問90点(古文・漢文各45点)になります。試験本番でどのようなタイプの問題にも対応できるよう、残り一年の間にできるだけ多くの問題演習に取り組みましょう。ただし実用的文章が加わった共通テスト型の問題はあまり多くないかもしれませんので東進で2カ月に1度実施される共通テスト型の模試などをうまく利用してください。多くのパターンに触れることが大切なので、力がついてから模試を受験しようという考えではなく、可能な限り、受験するようにしましょう。現代文3題・古文1題・漢文1題の5題を90分で解くための練習が大切です。
そして、国語において最も重要なことは「国語学習の基本は読解力をつけること」だということを忘れてはなりません。
どんな出題であっても、「書かれている内容を理解し、設問要求に合致する選択肢を選ぶ」という国語の読解の基本姿勢は変わりません。また、特に古文・漢文においては、身につけなければ読むことすらできない知識(古文単語・文法力、漢文重要漢字・句法力)があります。これらをきちんと身につけ、読解に生かせるようにし、演習を積み重ねていくことが重要となります。
大学入学共通テストまであと1年、次のアドバイスを参考にして、計画的に勉強を進めていきましょう。
■現代文
「論理的な文章」では、「論理的文章」、または「論理的文章」と複数素材を組み合わせた問題が出題される見込みです。読解力・論理的思考力を鍛え、問題への対応力を高めましょう。また、漢字・語彙といった知識事項に自信が無い人はこれらを固めることが先決です。漢字力・語彙力は、単に漢字問題や語彙問題で点を取ることにとどまらず、読解力を根本から支えるものになります。早い段階で漢字と語句の問題集を1冊ずつ仕上げ、それを文章読解の中で活用していきましょう。
また、速く読み解く力を身に付けるためには、設問に先に目を通して問われることを予め理解しておき、本文を読みつつ問題がきたら解くという読解法(「読みつつ解く」)を日頃からトレーニングしておくのも一つの方法です。また、複数素材がある場合、それらをどの程度読み込む必要があるかなど(例えば、長い法律の条文があるが、設問からすると一部のポイントだけを理解すればよいなど)の判断も重要になってきます。そして、本文を読み進めるときはただ目で文字を追うのではなく、キーワードや筆者の主張に線を引く、関連資料のポイントに印をつけておくなど手を動かすことで解答の根拠をすばやく見つけられるように学習を進めていきましょう。
「文学的な文章」の出題も、複数素材との組み合わせを否定できません。試行調査の第1回では、小説とそれを元にした小説の組み合わせの問題、第2回では、詩とエッセイの組み合わせ問題が出題され、一昨年の共通テストでは、小説中の語句を歳時記や関連する俳句などと結び付け、より深い理解へと誘導する問題が出題されました。
文学的な文章を解く際に気をつけなければならないのは、本文を「客観的」に読むということです。感情移入して主観的に読んでしまうと得点は安定しませんから、本文を客観的かつ正確に読み、事実関係と登場人物の心情をとらえ、選択肢を要素ごとに分けて丁寧に吟味する読解法を身につけていきましょう。
また語句問題は「辞書的な意味」を答える必要があります。日頃から辞書を引く習慣をつけて語彙力を強化するとともに、詩・短歌・俳句の出題に備えて「国語便覧」などを読む習慣をつけましょう。なお、「文学的文章」では、文学評論が出題される可能性もあります。その場合は、論理的な文章の読解の仕方をベースに解きましょう。
「実用的文章」に関しては、大学入試センターから示された「試作問題」が参考になります。来年共通テストを受けるみなさんは、実施されたことのない問題に取り組まなければならないので不安を感じているかもしれません。しかし、条件は皆同じです。東進が実施している模擬試験はこの「試作問題」を参考に作られていますので実践演習としてぜひ活用してください。
「論理的文章」「文学的文章」「実用的文章」の3問は、どの順番で出題されるかわかりません。どの順番で出題されるにせよ時間制約の厳しい試験になることが予想されます。どの順番で解けば得点が安定するのか、自分なりの解答方法を確立してほしいと思います。
■古文・漢文
皆さんが受ける令和7年の大学入学共通テストの古文・漢文は、「実用的文章」が加わることで各45点になります。出題内容にどのような変化が出るかはわかりませんが、古文・漢文は安定した基礎知識があれば得点源になる科目です。今までの共通テストを見る限り、古文・漢文は現代文と比べてセンター試験との違いは少ないようですし、必要な演習問題が不足していると感じたらセンター試験の過去問を利用しましょう。
古文や漢文は知識・基本事項の比重が大きく、身につけた知識が点数に結び付きやすい科目です。古文であれば、古典文法・古文単語・古典常識・敬語法を、漢文であれば、返り点・重要句法・漢字の用法や読み・重要語など、土台となる知識の定着度が大きなカギを握ります。これらをできるだけ早い時期にマスターすることが大切です。繰り返し確認をしながら、遅くとも夏休みが終わるまでに知識を定着させましょう。知識を身につけた後は、それを駆使してできるだけたくさんの問題を解き、解法の訓練を重ねること、そして、複数素材が出題される共通テスト型の問題演習を模試などを利用して数多く行うことが必要です。土台を安定させ、正解を素早く判断できるように訓練を重ねることで、常に高得点をとる力を身に付けることができるようになります。
夏以降は、解法と時間配分の訓練を繰り返して下さい。複数素材を扱った共通テスト対応型の模試は実践的な演習に最適です。模試は、学習の進捗度・定着度を測定・認識するという意味で大変重要です。自分の学習進捗度合いが計画通りに進んでいるかを客観的に判断するためにも、「全国統一高校生テスト」を含めて隔月で年6回行われる「共通テスト本番レベル模試」を連続して受験していくことで、着実に実力をのばしていきましょう。