国語
全体概観

形式に大きな変化なし。難易度的には現代文分野がやや易、古文が難。漢文の設問に新傾向。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

大問数4、各大問の配点50点、解答数36は昨年と同じ。第1問の評論文は文章量が短くなったものの、テーマ・内容は受験生にとって読み慣れていないものだった。設問は基本〜標準レベルで、昨年よりも易化したと思われる。第2問の小説文は、文章は読みやすくストーリー展開・人物関係などは理解しやすいものであったが、設問別に見ると判別しにくい選択肢があり、何問かミスして失点してしまう可能性が高い。全体的には昨年並みの得点と思われる。第3問の古文は例年通り文章量が多く、6首もの和歌に関する設問が出題されるなど、難化したと思われる。第4問の漢文は、詩論という目なれない題材であり、設問部分で律詩を提示した問題など、例年にない傾向が見られた。国語全体として、難化。

 

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2010

第1問

評論:岩井克人「資本主義と『人間』」

6

11

50

第2問

小説:中沢けい「楽隊のうさぎ」

6

9

50

第3問

『恋路ゆかしき大将』

6

8

50

第4問

『野鴻詩的』(黄子雲)

6

8

50

2009

第1問

評論:栗原彬「かんけりの政治学」

6

11

50

第2問

小説:加賀乙彦「雨の庭」

6

9

50

第3問

『一本菊』

6

8

50

第4問

『壮悔堂文集』(侯方域)

6

8

50

2008

第1問

評論:狩野敏次「住居空間の心身論−『奥』の日本文化」

6

11

50

第2問

小説:夏目漱石『彼岸過迄』

6

9

50

第3問

『狗張子』(浅井了意)

6

10

50

第4問

『衡廬精舎蔵稿』(胡直)

6

8

50

2007

第1問

評論:山本健吉「日本の庭について」

6

10

50

第2問

小説:堀江敏幸「送り火」

6

9

50

第3問

「兵部卿物語」

6

9

50

第4問

「竹葉亭雑記」(姚元之)

6

8

50


過去の平均点の推移
2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000
115.46点 121.64点 109.95点 125.52点 119.55点 114.15点 101.08点 112.68点 102.05点 112.92点
1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990
107.17点 116.02点 140.20点 137.89点 134.82点 129.62点 134.30点 122.90点 127.84点 133.1点

設問別分析
【第1問】「評論文」岩井克人「資本主義と『人間』」→やや易化
資本主義の変遷と主体としての「人間」存在について論じた文章。文章量としては、昨年よりも減少したが、テーマ・内容的に受験生の読みなれていないものだった。設問別では、漢字は例年並で、問3 の「具体的な説明」を求める問題と、問6の「表現の効果」「文章の構成」を問う問題で差が付くと考えられる。それ以外の設問は基本〜標準レベルだが、内容が読みきれなかった受験生は、問4、5なども間違える可能性がある。全体としては昨年よりもやや易化したと思われる。


【第2問】「小説文」中沢けい「楽隊のうさぎ」→昨年並み
現代作家である中沢けいさんの文章で、少年を主人公とする小説であり、文章量は昨年並みだが、会話部分が多く、受験生には読みやすいものであった。設問別に見ると、問1の語句の意味を問う問題で一つ程度ミスする可能性がある。問2は選択肢の判別がやや難しく、問5は長い選択肢の判別に苦労する。問6の「文章の叙述」を問う問題も、「適当でないもの」を二つ選ぶ点で、正確な読解が要求されている。全体としては、昨年並みと思われる。


【第3問】「古文」『恋路ゆかしき大将』→やや難化
本文は昨年より百字程少ないが、正確に登場人物を把握して内容を理解するのは難しい。問1は「まぼる」・「まめだつ」等必修単語が問われたが、「つきしろふ」等は難しいだろう。問2「なり」の識別は基本的。問4以降は正確な内容読解なしには正解できない問題。特に問4の和歌に関する設問は選択肢を吟味するのが大変だろう。近年は読みやすい内容の文章が出題されていたので、それらに比べると、本格的な本文と設問であった。


【第4問】「漢文」黄子雲『野鴻詩的』→昨年並み
問題文は171字で2008年度・2009年度よりもやや短めである。ただし、問5に五言律詩の40字分があるので、それを加味すればやや長めとなる。詩論という慣れない題材でもあり、内容的にはやや難しく感じられたかもしれない。問3の表の形式にしてある比喩の対象の判断の問題、問5の設問部分で詩を提示して本文の主旨とからめた説明を判断する問題など、例年にない傾向が見られた。