英語
全体概観

第1問、第5問の設問形式に変化が見られたが、出題の意図・傾向は昨年とほぼ同じ 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

出題内容は、第1問・第2問では語彙力・文法力といった英語の基礎的な学力を直接問う問題が中心、第3問〜第6問では状況に応じて必要な情報を的確に処理する実用的な英語力を試す問題が中心になっており、昨年同様である。設問文も含めた全体のワード数は約3500語で、昨年より900語程度減った。かわりに、第4問B、第5問、第6問は内容理解に時間がかかる問題で、量と質を勘案すると所要時間は昨年同様と考えられる。第1問は単語の発音、アクセント問題のみとなり、それぞれの小問数が1つずつ増加。昨年出題された文中で強く読む語から話者の意図を答える問題と、文中の語の強弱を問う問題は姿を消した。第2問はCの整序英作文で問3の選択肢が昨年の6つから7つに増えた以外、形式面の変化はなかった。第3問、第4問は設問形式の変化はなし。第5問は2人の人物が述べる状況説明文を読んで、イラスト問題を含む5つの設問に答える問題に変わった。第6問は昨年と同形式だが、設問数が1題減少した。配点の面では、第5問が昨年の18点から30点に大きく増え、第6問が42点から36点に減った。その他の大問は2点または3点の変化にとどまり、大問ごとの配点のばらつきは昨年より小さくなった。全体的な難易度は昨年並みである。

年度

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2010

第1問

A

単語の発音

4

4

14

B

単語のアクセント

3

3

第2問

A

文法・語法・語彙

10

10

41

B

対話文

3

3

C

整序英作文

3

6

第3問

A

文脈による語句の意味推測

2

2

46

B

意見内容の要約

1

3

C

英文空所補充(文または文の一部を補充)

1

3

第4問

A

図表を使った説明文読解

3

3

33

B

説明文書などの読み取り

3

3

第5問

状況説明文に合うイラスト・英文選択

5

5

30

第6問

説明的文章の読解

6

6

36

2009

第1問

A

単語の発音

3

3

16

B

単語のアクセント

2

2

C

強く読む語と話者の意図

1

1

D

文中の語の強弱

1

1

第2問

A

文法・語法・語彙

10

10

44

B

対話文

3

3

C

整序英作文

3

6

第3問

A

文脈による語句の意味推測

2

2

44

B

意見内容の要約

1

3

C

英文空所補充(文または文の一部を補充)

1

3

第4問

A

図表を使った説明文読解

3

3

36

B

説明文書などの読み取り

3

3

第5問

A

イラストに合う英文選択

1

1

18

B

英文の内容に合うイラスト選択

1

1

C

4コマ漫画の内容に合う英文選択

1

1

第6問

説明的文章の読解

7

7

42

2008

第1問

A

単語の発音

3

3

16

B

単語のアクセント

2

2

C

強く読む語と話者の意図

3

3

第2問

A

文法・語法・語彙

10

10

44

B

対話文

3

3

C

整序英作文

3

6

第3問

A

文脈による語句の意味の推測

2

2

44

B

学校新聞の記事の要約

1

3

C

英文空所補充(文の一部を補充)

1

3

第4問

A

図表を使った説明文読解

3

3

36

B

広告の読み取り

3

3

第5問

A

イラストに合う英文選択

18

B

英文の内容に合うイラスト選択

C

4コマ漫画の内容に合う英文を選択

第6問

説明的文章の読解

7

7

42

 

2007

第1問

A

単語の発音

3

3

19

B

単語のアクセント

2

2

C

強く読む語と話者の意図

3

3

第2問

A

文法・語法・語彙

11

11

46

B

対話文

3

3

C

整序英作文

3

6

第3問

A

文脈による語句の意味の推測

2

2

38

B

ディスカッションの内容把握

1

3

C

英文空所補充(文)

1

3

第4問

A

図表を使った説明文読解

3

3

30

B

広告の読み取り

2

2

第5問

A

絵を使った対話文読解

2

2

24

B

絵を使った対話文読解

2

2

第6問

物語文の読解

6

8

43


過去の平均点の推移
2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000
115.02点 125.26点 131.08点 127.52点 116.18点 130.11点 126.82点 109.68点 110.71点 119.62点
1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990
111.44点 127.74点 137.42点 126.14点 109.52点 96.42点 106.72点 121.32点 130.96点 137.62点

設問別分析
【第1問】A 単語の発音 B 単語のアクセント 
昨年までの文強勢に関する問題がなくなり、今年は最も基本的な発音とアクセントの問題のみになった。レベル的には基本的なものが中心で、受験生にとって傾向の変化による大きな影響はなかったと思われる。ただし、発音問題を個別に見るとwool、smooth、heartなどカタカナの日本語の音を連想すると間違えやすいものが見られた。着実な学習を心がけたかどうかが問われるだろう。全体的な難度は例年並と言える。

【第2問】A 文法・語法・語彙 B 対話文 C 整序英作文
昨年からの形式上の変化はなかった。Aは文法、語法、単語・熟語と満遍なく出題されたが、昨年ほどではないにせよ、expireの意味を問うものなど、一部の語彙問題にはやや難しいものがあった。こうした問題は日頃からどれだけ英文に接しているかによって得点に差がつきやすい。一方、文法的な問題は比較的容易であった。Bの会話文完成問題では、3問中2問がオーソドックスに文脈を決め手とするものであった。1問は会話特有の決まり文句の知識がポイントで、ここがやや難しかったかも知れない。Cの整序英作文は、3問中2問が間接疑問を含むもの、残りの1問が接触節(関係代名詞の省略)を含むもので、文法的テーマがポイントをなしている。第2問全体としては、昨年よりはやや易しいと言える。

【第3問】A 文脈による語句の意味推測 B 意見内容の要約 C 英文空所補充
形式的な変更点はない。Aはここ数年続く形式で、短文中に施された下線部の表現の意味を問うものである。どちらも表現の知識そのものを試すのではなく、文脈から何を言い表しているのかを推測させる問題であるが、落ち着いて取り組めば決して難しくはない。Bはディスカッションにおける意見内容を問う問題であるが,全体的な内容把握の力を試すという狙いは従来と変わらない。Cの空所補充は一文を丸ごと補うものと、文の一部を補うものが混在するが、ほぼ従来どおりの傾向である。第3問全体としては、昨年並みと言える。

【第4問】A 図表を使った説明文読解 B 事務的文書などの読み取り
この大問も特に大きな変化はなかった。今年のAは英文は日本を訪れる外国人旅行者の傾向分析に関する説明文である。本文、設問とも全体的に標準的と言える。Bは飛行機の便の離発着予定表を素材に用いた読み取り問題であった。設問文が長くなり、注意を要する設問も見られたが、例年見られるような計算を求められない分,全体としては昨年並みと言える。

【第5問】イラストを含む内容一致問題
今年のすべての大問の中で、最も大きく変化した。素材となるイラストは1つとなり、状況を説明したA、B2つの文章に関して、内容一致問題が全部で5つ並んでいる。与えられた英文は長めであるが、総語数はむしろ減っている。見た目ががらりと変わった印象があるが、時間にある程度の余裕があれば、難なく答えられるレベルである。全体的な正答率はほぼ昨年並みだろう。

【第6問】長文読解問題
大人になるまでの幼年期から青年期のあり方が歴史的にどのように変遷してきたかを説明した文章に関する内容一致問題。総語数は昨年並みである。段落のグループ分けという特徴的な設問を含めて一昨年からの形式を踏襲し、設問や選択肢も比較的素直である。ここまでの問題で時間を使いすぎていなければ、高い正答率が期待できるだろう。1問あたりの配点が大きいので、設問を慎重に読んでミスをしないことが大切である。